国内の原子力発電所の稼働について

原子力発電所の現在の稼働状況

日本国内には各地に54の原子力発電所が設置されていて、総発電量の3割とある程度大きな割合を原子力が占めていた状況が続いていました。
しかし、東日本大震災に伴って福島第一原子力発電所に事故が生じたことで、原子力発電所の安全性が疑問視されるようになりました。
その反省から、安全かどうかを審査するために一時停止しているところも多く、現在は原子力発電が全体に占める割合は下がっています。
また、耐用年数が過ぎているなどの事情で、廃炉が決定していたり実際にすでに廃炉に向けた作業をしたりしているところもあります。

そのため、再稼働している原子炉の数は10基に留まっています。
また、原子力規制委員会によって許可を得ると共に、地元の賛同を得て再稼働に向けて進んでいる原子炉は4基ほど存在しまます。
それでもまだまだ過去の稼働状況には追いつかず、電力逼迫の一つの原因となっています。

第6次エネルギー基本計画によると、全体のうち原子力発電が占める割合は20から22パーセント程度にしたいという目標がありますが、それには達していない状況です。
しかも将来的に廃炉になることが決まっている原子力発電所もありますので、長期的に運用していくという点では、改修や新規建造などの案も含めて考える必要が出ています。
昨今のエネルギー価格高騰に伴う電気料金アップを踏まえて、電源構成をできるだけ分散させる、外部の資源に頼らなくても自前で発電できるようにするということを考えて、原子力発電所の再稼働を求める声が出ているのです。

原子力発電所の安全対策について

このように、電力の安定供給や電気料金の引き下げという面からは、原子力発電の割合を高めることが求められています。
しかし、やはり原子力発電のリスクというものも真剣に考える必要があります。
そのため、再稼働するのであれば確実な安全対策を講じていることが最低条件となります。

安全を守るために原子力規制委員会というものがあり、さまざまな規制をすることで安全を確保する取り組みがなされています。
東日本大震災の教訓を生かして新しい基準を設けていて、その基準に沿っているかどうかを審査する制度が作られています。
多くの場合、新基準に適合させるためには発電所内の施設設備の変更や追加が必要となります。
その工事が終了して、基準に沿った形で施設が運営できるかを委員会が審査してから再稼働が許可されることになります。

また、それぞれの原子力発電所でも緊急安全対策や、アクシデントが生じた場合の対策などをさらに厳しいものとしています。
地元との連携も重視されていて、万が一の場合の避難ルートや医療ケアなどの計画を立てて、地元自治体と住民に周知する取り組みもなされています。

電気代を支援する政府の補助の内容について

高騰が続き家計を圧迫する電気代

ロシアによるウクライナ侵攻は、世界中に物価高騰の波を起こしています。
特に原油を始めとするエネルギー価格の高騰は、企業活動にも人々の生活にも多大な影響をもたらしています。
加えて日本の場合は強い円安の動きがあるため、海外からの輸入品の価格がさらに高くなってしまいます。
そのダメージは多岐にわたりますが、特に電気代の上昇はすべての人に関係するものです。

日本の電気供給は火力発電に頼る部分が大きく、天然ガスや重油、石炭などを使って発電をしています。
原子力発電もあるのですが、東日本大震災の後に稼働停止をしているケースも多く、どうしても火力発電の割合が高くなっています。
その状態でこの燃料高騰の影響が直撃することになり、電気会社も軒並み電気代アップをせざるを得ない状況となっています。
そのため、ほとんどの家庭において電気代の負担が大きなものとなり、家計を圧迫しているのです。

「電気・ガス価格激変緩和対策事業」とはとは?

電気料金は家計の中でどうしても外せないものですし、生活に直結するインフラですので政府としても手をこまねいて見ているわけにはいかず、支援策を取ることを決定しました。
その一つに、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」というものがあります。
これは令和5年より企業や家庭の負担を緩和するために、電気代とガス代への補助をするというものです。

具体的には、3兆円を超える資金を投入し電力や都市ガスの事業者に補助をすることによって、最終的に消費者への請求料金を引き下げるという形になります。
そのため、一般家庭や企業としては特に補助を求める申請などをする必要がなく、電力会社の方で申請をします。
一般家庭であれば基本的に誰でも補助の対象となりますが、特別高圧という電気の契約をしている場合は対象外となります。

補助される金額、つまり値引きされる金額は、令和5年1月から8月までの使用分については1KWhあたり7.0円となります。
その後、令和5年9月使用分については1KWhあたり3.5円の値引きとなります。
実際の使用料はこれに加えて基本料金などがかかりますので、合計金額は明細書を確認する必要があります。

事業の期限について

この対策事業の期限は、上記のように令和5年9月使用分までというのが原則です。
これはあくまでも使用月のことですから、検針をするのは翌月、令和5年10月の時点までということになります。

現在のところ、明確に期限が定められていて最終月には補助金額も半分に減らされるということまで決定されていますので、期限の延長の可能性は低いと見られています。
ただし、他の形での補助や支援がなされることもありえますので、これからの政府の発表に注目したいところです。