EVの電力は本当に再生可能エネルギーでまかなえるのか?

日本の再エネ導入はどこまで進んでいるのか

日本では、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーの導入が徐々に進んできました。経済産業省のデータによると、2022年度の国内電源構成における再エネの比率は、太陽光発電が約9.2%、水力が7.6%、バイオマスが3.7%、風力が0.9%、地熱が0.3%とされており、合計で20%をやや超える程度となっています。

政府は2030年度までにこの割合を約36〜38%へと高める方針を掲げており、特に太陽光や風力といった変動型電源の比重が増していく見通しです。

ただし、発電量は季節や天候に左右されやすく、時間帯によって大きく変動するため、導入量を増やすだけでは安定供給にはつながりません。こうした点が、EVの普及と再エネ活用を考えるうえで重要な視点となります。

EVの普及で電力需要はどう変わるのか

EVが普及すれば、それだけ電力を使う場面が増えます。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2040年に世界全体でEVが約2.8億台に達すると見込まれており、その影響で電力需要は2%増加するとされています。日本国内でも、EVが社会に広く浸透すれば、その分だけ充電に使う電力量が増えることは避けられません。

こうした需要増に対し、再エネでどう対応するかが大きな課題です。時間帯によって発電量が変わる太陽光や風力が中心となると、EVの充電タイミングが供給と合わないケースも出てきます。

日中は太陽光が多く発電されても、夜間に充電が集中すると電力が足りなくなる可能性もあるため、電力の供給体制やインフラ全体を見直す必要があるでしょう。

再エネでEVを支えるには何が必要か

再生可能エネルギーでEVの充電を安定的にまかなうためには、いくつかの課題に取り組まなければなりません。

第一に、電力の安定供給という点では、蓄電池などのエネルギー貯蔵技術が不可欠です。再エネで発電した電気を一時的に貯めておき、必要な時間に放電することで、発電の変動を平準化する工夫が求められています。

また、日本特有の地理的制約も無視できません。特に都市部は、大型の発電設備や送電網が設置しにくい点が課題です。さらに、発電設備やインフラの整備にはコストもかかるため、政府による支援策や民間企業の投資判断が今後の鍵を握ることになります。

EVと再生可能エネルギーは、ともに持続可能な社会を目指すうえで欠かせない存在です。両者をうまくつなぎ合わせるためには、発電・供給・蓄電という視点を踏まえた総合的なエネルギー戦略が求められています。今後も、制度設計や技術革新を通じて、その実現に近づけるかが注目されます。